妖精と彼女【完】
トウが以前言っていたことを、同じように引用して尋ねると、皆うんうんと頷く。
彩音が嬉しそうにあたしに向かって指を指す。
「なーんだ!悠、意外と分かってるんじゃん。そうそう。悠に対してそう思ってるってこと!」
なるほど。
やっぱり恋について、トウが言ってたことは間違いなかったのか…。
…でも、そうだとすると疑問に残る。
「…?でも、あたしとそんなに接点のある男子っていないのに…」
何をキッカケに、そんなことを思うようになるんだろう…?
そう思っていると、友達は「えっ…」と不審の声をあげ、持っていたお菓子を床へ落とした。
そこから一瞬、皆の意識は床に落ちたお菓子へと移動する。
「あー、雛子ってばー!お菓子もったいないー!」
「もぉごめーん!だって悠がとんでもないこと言うんだもーん」
…なぜかお菓子落としたの、あたしのせいにされた!
さっきお菓子を落とした友達、雛子は床に落ちたクッキーをサッと拾い、あたしをじっと見つめた。
「あのさ…悠ってさぁ、一目惚れって言葉知ってる?」
「そんくらい知ってるよ!失礼なー!」
「それが悠に対してもありえるんだよ。人って話したことなくても、見た目から恋に落ちることもあるんだからー」
雛子のその言葉をキッカケに、友達は「だよねー!」「あたしなんてこないだ超絶イケメンに電車で出会って…」
なんてことを話し出した。