妖精と彼女【完】
ガールズトーク特有の話題のズレが生じてきて、あたしが置いていかれ気味になり、会話は友達だけで行われている。
その様子を見て、彩音がそっとあたしに声をかけてきた。
「…ねぇ、どーしたの?突然そんなこと聞いて。誰かに告白でもされたの?」
「ええっ!?い、いや、そんなんじゃないけど…」
あたしの必死な様子を見つつ、彩音は納得していないような顔をしつつも、
「ふーん…」としか言わなかった。
でも、面白そうな顔をしてあたしを見つめていた。…ちょっと嫌な予感。
「もしかして……高木くん?」
「は、はぁっ!?違うから!」
突然、何故か出てきた男子の名前にあたしは驚きつつも急いで否定する。
彩音は楽しそうにケラケラと笑っている。
「本当ー?まぁでも、高木くんから告白されるのはありえるだろうね。」
「高木くんが?」
「ちょっと前に愛くんのことを、彼氏なのかって気にしてたでしょ?」
あぁ…そんなこともあったような。
彩音は机の上のお菓子をつまみながら、話し続ける。
「高木くんが悠のどこに惹かれたのかは知らないけどさー。それは悠の見た目かもだし、性格かもだし、それ以外かもしれない。それは分からないけどねー。それに、」
手に持っていたクッキーを、サク、とかじりながら彩音は物憂げな表情だった。
「気が付いたら好きになってることもあるんだから。」
「え……?」