妖精と彼女【完】
秋冬は、恋が芽生えるイベント目白押しとよく聞くけれど、たいしたこともなく過ぎていった。
そういえば、2ヶ月くらい前のバレンタイン。
トウが、「悠ちゃんが作ったチョコレートが欲しい!」とあたしの部屋で暴れ、愛に滅殺されかけた。
愛から「トウくんにはチョコあげなくて良いから。でも俺には作って?」と珍しく可愛いおねだりをされて、愛にチョコレートを作ったこと。
そして、それをトウが目ざとく見つけて…これまた愛に滅殺されかけた。
これくらいかな。
何だか面白イベントの報告みたいになっちゃったな…。
そんな、些細なようで些細ではない変化を迎えたあたしには、悩んでいることが二つあった。
一つは、自分の進路のこと。
そして、もう一つは………。