妖精と彼女【完】
ヘラヘラっと笑っている彩音に、あたしは肩の力が抜ける。
………なんか、予想外の返事が返ってきた。
はー、と脱力したあたしに、彩音はあたしの悩みを察したようだった。
「悠は、やりたいことが見つからないの?」
彩音の鋭い質問に、あたしは力なく頷いた。
「…なんか、イマイチ実感わかなくて…。あたし、家が銭湯経営してるから、経営学も良いかなって思うけど……正直色々迷うし。」
そう答えると、少し考えるように彩音は空を見上げた。
今日はとても綺麗な青空で、高いところを鳥が飛んでいる。
「どっちかってゆーと、選択肢が多くて決まってないの?それって良いことじゃん。」
「…そーかなぁ?」
「そうだよ。やりたいことがなくて、とりあえず就職に有利なとことか考えてる私よりもずっと。…でも、私にもいつかやりたいことが見つかったら、仕事辞めてでも頑張りたいんだ!」
「そっかぁ……彩音はすごいなぁ」