妖精と彼女【完】
彩音は、何かを悟っているかのような大人っぽい笑顔をあたしに向ける。
色々考えてるんだなぁ。本当に偉いなぁ。
「ごめんね、私のこんな返事じゃ参考にならなかったと思うけど…周りの人にも色々聞いてみたら良いかもね!」
優しく、肩を叩かれる。
あたしとは、まったく違う方向性を持っているんだなと実感したものの、聞いて良かったと思った。
「ありがとね、彩音…あとさ……もう一個あるんだけど…」
彩音は、ちょっとやる気をそがれたのかボーッと街並みを眺めている。
この相談はちょっと言いにくかったから、彩音の意識がこちらに向いてないならちょっと話しやすい。
「んー?」
「……って……じゃないの?」
勇気を振り絞って聞いてみたものの、声が小さすぎたみたい。
彩音に眉間をシワを寄せた状態で、あたしを見やる。
「はぁー?ちょっとよく聞こえないんだけど!」
「………。」
……言いにくい。