妖精と彼女【完】






彩音は、何かを悟っているかのような大人っぽい笑顔をあたしに向ける。
色々考えてるんだなぁ。本当に偉いなぁ。





「ごめんね、私のこんな返事じゃ参考にならなかったと思うけど…周りの人にも色々聞いてみたら良いかもね!」






優しく、肩を叩かれる。
あたしとは、まったく違う方向性を持っているんだなと実感したものの、聞いて良かったと思った。







「ありがとね、彩音…あとさ……もう一個あるんだけど…」






彩音は、ちょっとやる気をそがれたのかボーッと街並みを眺めている。





この相談はちょっと言いにくかったから、彩音の意識がこちらに向いてないならちょっと話しやすい。






「んー?」







「……って……じゃないの?」






勇気を振り絞って聞いてみたものの、声が小さすぎたみたい。
彩音に眉間をシワを寄せた状態で、あたしを見やる。





「はぁー?ちょっとよく聞こえないんだけど!」




「………。」







……言いにくい。













< 66 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop