妖精と彼女【完】
彩音は言葉での催促しないものの、待っているかのようにじーっとあたしのことを見つめる。
言いにくいけど、言い出したのはあたし……。この雰囲気で言わないわけにはいかない。
あたしは、腹をくくった。
「あのさ…飛び出す刑事のヤマさんが言ってたんだけど……」
その言葉を聞いて、彩音は嫌そうな顔をする。
彩音のかわいい顔がゆがむのが、少しもったいなく思う。
「はぁ〜?悠はヤマさんのこと信じてるけどさ、あたしからしたらドラマ見ててもヤマさんの言うこと自体あんま信じられな…
「ヤマさんが!好きな人には触れたいものだって言ってたんだけど本当!?」
彩音がヤマさんの悪口を言い切る前に、あたしは食い気味に言葉をかぶせた。
その勢いで、聞きたいことは何とか聞けた。
あたしの言葉を聞いた彩音は、キョトンとした顔で…少し考えていた。
そして、コクリと頷いた。
「ま、それに関しては…合ってるかもね。」