妖精と彼女【完】








ーーーーーー



そういうこともあったものの…
特別トウとは進展のない毎日を送っています。






やっぱりトウはあたしの部屋に入り込んでベッドを占領して、あたしに「好き好き」とアピールして、愛に追い出されている毎日を繰り返している。





でも、そういう変わらない毎日の中でも…何かしらのささいな変化は感じる。







たとえば……
あたしが前髪を切ったことにトウがたまに気付くと嬉しかったり。


何気ない気遣いの言葉に、優しいなぁって感心したり。


不意にトウの顔を見て、こんなカッコ良かったっけ…?とか思ったりして。






出会ってから早2年……。

今まで何とも思ってなかったし、ウザいだけだと思ってたけど……意外と、それ以外の感情をあたしは持ち始めている。



…のかもしれない。








ただ……愛の告白のような言葉は毎日あるのの…、ヤマさんが言うような、「好きな人には触れたい」という言葉を体現するようなことはやっぱり全くない。






それが理由で、あたしは彼の真意をつかめないままだった。









そういった、恋愛への意識は途切れずあるものの…あたしは今、それどころじゃなくなっている。




それは……


















< 86 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop