妖精と彼女【完】
「もう、俺……悠ちゃんと会えないってこと…?」
ショックを受けたのか、トウは手に持っていた本をバサリと床に落とした。
「……あー…うん。まぁ、そういうことが言いたかったんだけど……」
トウって、何でこういう変なところだけ、言われないのに察しが良いんだろう…。
本当に、妖精って不思議な生き物だ…。
そしてトウは両手で顔を全て覆い、グスグスと泣き出した。
「俺っ、俺…悠ちゃんに会えなきゃ死んじゃうと思うんだよね…」
「会えないって言っても半年くらいなんだけど…。それに、飲食、睡眠、日光浴がほどほどに出来ていれば死なないと思う。特にトウは妖精だし。」
「精神的にだよぉ〜!!」
「あーもー……うるさいな…。」
そう、ポソリとつぶやくと、トウは両手を顔から外して涙ながらに訴えてきた。
「そう!!そういう『うるさい』とか、『ウザい』とか、そーゆー罵りがないと俺、絶対病んじゃうよ!でも時々は『好き』って言ってほしいよ!」
「さりげなくドM発言するのやめよう?あたしは罵りたくて言ってるんじゃないから。」
「うぅぅうえぅー!でもー!」
………なんか、すごく女々しいところにイライラしてため息をつきつつも…なんか引き離せない。
結局、少しだけ折れてあげることにした。