妖精と彼女【完】
結局のところ、完全にトウを遮断した状態で勉強に集中したかったものの…
時々悠ちゃんに会いたいとしつこくお願いされ、「週に1回、5分だけ」…というルールができた。
「罵られなきゃ絶対に病む!」とか色々泣き叫びながら言っていたものの、トウはあたしにかなり気を遣ってくれたらしい。
…なんとなく、照れくさい。
そして、嬉しい。
こうして、あたしは勉強のためと称した時間を得て、自分と向き合おうと考えていた。
一つは、今だハッキリと決まっていない将来のこと。
そして、もう一つは…彼のこと。
ある日あたしは、飛び出す刑事の名刑事、ヤマさんの名言を試してみようと決意した。
『少し、距離をとること』
ヤマさんいわく、この行為は非常に重要らしい。
ドラマの最中で、犯人に目星をつけた状態で行うと非常に有効らしい。
『押してダメなら引いてみろ』…と近しい意味を持つ、ともヤマさんは言っていた。
でもそれは、恋愛で好きな人にガンガンアプローチをしている人に向けての言葉らしいから、あたしには関係なさそうだった。