妖精と彼女【完】
この『距離をとること』は、人間関係に悩んだ時を始め、自分自身の悩みなどにも有効らしい。
勉強しようにもトウがいるとうるさいし、それと同時進行で『距離をとること』を実施して、自分自身の本当の気持ちを見つけたいと思った。
ヤマさんからは、「どれくらいの距離をとれば良いのか」といったレクチャーはなかったものの…
なかったからこそ、ある程度は自由にして良いんだろうと結論づけた。
…たぶん、週に1回くらいなら良いよね。
毎日会っていたトウとの距離感が変われば、もっと違う何かに気付くかもしれない…。
あたしは、自身が導き出す答えに予想がついているような気がしていたけれど……気付かないフリをした。
しかし……慣れた日常が変わるというのか案外寂しいことらしい。
そして、その寂しさは数日で「姉さん、最近様子変じゃない?」という弟の指摘で即刻周りにもバレることになる。