妖精と彼女【完】
毎週木曜日。
日課である、銭湯の清掃が終わった後。
それがトウとの約束だった。
毎日側にあった、うるささに近しい賑やかさは、なくなると寂しいと感じるほど…あたしに染み込んでいた。
そして、会えない時間には勉強に励みつつ、トウに会いたいと思うようになった。
……あたし、そんなに寂しいのかな?
その落差は大きく、トウに会える木曜日は学校に行っている時間もソワソワするほど楽しみになった。
そして会える時間は、本当に嬉しいものだった。
週に1回というルールを作ってしまうのを後悔したくらい、気がつけばトウに会いたいと思うようになったあたしがいた。
そして、今日は木曜日。
早々と下校し、銭湯の清掃もシッカリと丁寧に!
効率よく終わらせて自室へと戻ってきた。
それを見計らったかのように、トウはベランダのガラス戸から勝手に入ってきた。
「悠ちゃん久しぶりー!今日も可愛いねー」
週1で会うようになってからは、トウはあたしのことを「可愛い」だの「キレイ」だのと褒めるようにもなった。
たぶんトウはノリで言ってるんだろうけど、そんな褒められたことないし…なんか照れる。