妖精と彼女【完】
そして、あたしはこうやって距離をとるようになってから…少し進展したこともある。
それが理由なのかは分からないけれど、もう一つの悩みは何とか解消されそうです。
〜三者面談〜
「倉本は、自分の進路について考えてる?」
学校で行われた三者面談には、お母さんが来てくれた。
向かいに座る先生があたしに聞いてきて、あたしは少し困る。
「えっと……今、悩んでて…」
「全然決まってないとか?」
言葉に詰まったあたしを、先生は優しい眼差しで見つめる。
「…いえ、あの……あたし、実家の銭湯をもっと盛り立てることが出来ることを勉強したいんです。」
「へぇー、素晴らしいな!」
先生は興味深げに頷いて、ただ、不思議そうな顔をした。
「そこまで決まってるのに、何かそんなに悩むことがあるのか?」