妖精と彼女【完】
「えぇー!?悠ちゃんが建築家なんてカッコいいわー!素敵じゃない!すっごーい!」
あたしのことなのに、お母さんはハイテンションになっていた。
先生と一緒に、あたしの人生のことでかなり盛り上がっている。
………というか、あたしは建築家になるとは言ってないのに。
「ねぇねぇ悠ちゃん、いつかうちの銭湯リフォームしてね?」
……そしてこの発言である。
「建築の勉強がしたい」から、どんだけ飛躍してるの…?
それでも、先生やお母さんの話を聞いていて、俄然やる気がわいた。
感情が高ぶって座っていられず、あたしは席から立ち上がった。
ガタン!と音を立て、立ち上がったあたしを先生とお母さんはポカンと見つめた。
「……倉本?どうした?」
「………先生、お母さん…あたし、頑張ります!」
言い切ったあたしを見ながら二人はしばらく呆然としていたけど、少しのタイムラグをとって二人は理解できたらしい。
あたしの言葉を聞いて、先生とお母さんは嬉しそうに笑った。
「そ…そうか!先生は嬉しいぞ!先生も頑張るから、一緒に頑張ろうな!」
「お母さんも応援するー!」
こうして、あたしのしばらくの将来については目標が無事決まった。
一つ目の悩みは解決されたけれど……
もう一つは、解決するのかなぁ…?