妖精と彼女【完】
予想通り、あたしから「大学合格は合ってるけど違う」と言われたトウは、キョトンとしている。
「えっ……じゃあ、何も違わないよ?」
本当に予想を裏切らない彼に、あたしはため息しか出ない。
「……ハァ…。あのさ…、あたし、トウの演出に全く微塵も感動してないから。」
「えっ…………」
そう言い切った瞬間、トウの顔から表情が消えた………。
…というか、
ただクラッカーを3本まとめて鳴らすことで、感動して言葉を詰まらせる……
なんてことがあると本気で思っているんだろうか……?
いや、目の前のこの妖精ならありえる。
だってほら………
「なんで…?泣いて喜んでもおかしくないのにな…タイミング?声のトーン…?」
トウは何が悪くてあたしが感動しなかったのかを、残念な頭で一生懸命考えている。
もう、言葉のかけようがない。
あたしは急な立ちくらみに襲われていた。
…間違いない。
こいつはバカだ。
そして割とウザい。