ごめん、すき。
「あ、そうだったんだ…あはは、知らなかった。バイト先一緒なんだよ!私と廉…緑川くん。」
仮面を被った笑顔で真綾は笑う。
私に気を使ってか名前も廉じゃなく、緑川と言い直して。
そして、私は悟る。
…あぁ、真綾の好きな人って……廉だ。
だって真綾の顔、恋してる顔してるもん。
「ごめんね!なんかカップルで来てるところに押し掛けちゃって、じゃあ、また。」
お会計を済ませ、そそくさと真綾は出ていった。
私は自然と体が動き出した。真綾のもとへと。
『真綾!』
早足で歩いていた真綾が足を止める。
けれど振り向かない。
「なに…?」
『こっち向いてよ?』
私に背を向けたまま返事をする真綾に話し掛ける。
「別に、…いいでしょ?向かなくて…」
『向けないからでしょ?』
彼女の言葉を遮って問いかける。
「ちが…っ。」
そういって振り向いた真綾。
バチりと合う視線。
けれどそれはすぐ剃らされる。