ごめん、すき。
『…っ廉、好きな人できたよね?』
涙をこらえ、彼に問う。
「………俺が好きなのは…愛だよ…?」
あぁ、やっぱりすぐには言ってくれないんだね。
今私の名前を言う前に思い浮かべた人がいるよね?
長年廉とは付き合っているんだからわかるんだよ。
廉が嘘つく時に出る癖ぐらい。
…自分では気づいてないみたいだけど廉は…廉はね
嘘つく時、髪を触るんだ。
『もう…嘘つかなくていいよ?』
「嘘なんかっ…」
彼の言葉を遮って私はもう一度同じことを言う。
『好きな人いるよね?』
彼の瞳がまた揺らぐ。
そして、私は彼の目を見て一番言いたくなかった言葉を言う。
これが最後だと自分に言い聞かせて。