ごめん、すき。






「…い、…愛?」




『え?』




肩を上下に揺らされ現実へと引き戻される。



目の前には教室の黒板ではなく、真綾の顔がドアップで映っている。



真綾は最近席替えをして席が前後になった女の子。

趣味が合うと知り、最近よく話をするんだよね。



「どうしたの?ボーっとして。」




可愛く首をかしげながら聞いてくる。




『…ちょっとね。…ま、いいじゃん』




あはは、なんて笑って誤魔化す。




「良くないよ。悩み事?」




でも、真綾は疑り深くしつこく聞いてくる。




真綾は真面目な子だから、親身になって私を心配してくれている。




折角心配してくれているんだし、一人で悩んでもしょうがないよね。




『実は…』




廉とのことを私は簡単説明した。


だけど、私の話ではなく、友達の出来事だと言って名前を伏せ、嘘をついて……。



「そうなんだ……。でもその子はまだ彼氏さんの事好きなんでしょ?別れ話なんて…その子からは言わない方がいいと思う。」



『でも……』



「だって、振られたわけじゃないでしょ?ホントはその子の勘違いでまだその子の事が好きかもしれないよ!」





大人しい印象のあった真綾が熱心に言い聞かせてくるもんで説得力が感じられる。






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