漆黒の陰陽師~陰の王子と黄昏の姫~
「恋は突然始まる....かぁ....。」
お昼休みが終わり、五時間目が始まってからも私はずっと、ぼーっとしながらその言葉について考えていた。
確かに、恋はしたいからって頑張って出来るものじゃない。ふいに、ちょっとした仕草や言葉に、胸がキュンって高鳴る時が来るのかもしれない。
でも、こんな変わらない、いつも通りに日々を過ごしていて、そんなことを思う時が来るのだろうか。その“突然”はいったいいつやってくるんだろう。
あたしはいつまで待てばいいんだろう....
「篠宮さんっ!!!!」
「は、はいぃっ!!!」
急に名前を呼ばれて思わず上ずった声を出してしまった。
顔を黒板の方へ向けると、古文の先生が物凄い形相であたしを睨みつけていた。
「もう、さっきから何度も呼んでたんですよ?!
ほら、教科書34ページ、読んで下さい。」
「は、はい、すみません....!!//」
あたしは慌てて机の中から教科書を引っ張り出して34ページを開いた。