漆黒の陰陽師~陰の王子と黄昏の姫~
私はその紙におもむろに手を伸ばしドキドキしながらそれを開く。そこには丁寧な字で
“本当になんでもないんだ。気にしないで。あの突風が起きた時君がなにか見たのかと思っただけだから。”
と書かれていた。
何だかいまいち納得いかないが、私も変に追求して変人だと思われなくなかったので、“そっか。おろおろしてごめんね。”と書いてまたその紙を真田くんに返した。
それを読む真田くんの顔をちらりと横目で見ると、小さくほっとため息をついたように見えた。
人が嫌がるようなことはやめたほうがいいもんね....
私は小さい頃からおばあちゃんやお母さんから人の嫌がることはするなと強く教えられた。お陰でいじめなどをみるとほっとけないような正義感を持って育った。小学校の頃、一度そんな性格のせいで面倒に巻き込まれてしまったこともあったが、今は友達にも恵まれて楽しく毎日をすごしている。
なんかもやもやするけど、まぁ....いっか
私はもう一度さっきの男の子が立っていた場所を眺め、板書を写し始めた。