漆黒の陰陽師~陰の王子と黄昏の姫~



私が驚きの余り声も出せずに立ちすくんでいると、猫又が倒れてしまった彼の元へ駆け寄って心配そうに彼の顔を舐める。


うつ伏せの状態でたおれている彼の背中には、漆黒とはまさにこのことを言うのだろう、というぐらいに美しく吸い込まれそうな黒色の羽が生えていた。



「うぅっ....」



私は彼の呻き声で我に返ると慌てて駆け寄り跪く。



「大丈夫ですか?!」

「はぁっ...、おま、え、何をしてる...俺を置いて早く此処から立ち去れ...!」

「駄目です!目の前の倒れてる人を放って帰れるわけないじゃないですか!」


彼がギロリと睨むので私も負けじと睨み返す。


「俺は大、丈夫だ、時期によくなる...!」


口では大丈夫とか言っておきながら、顔は苦痛で歪んでいる。額には汗が滲み出ていた。



もう、全然大丈夫じゃないじゃない!



「強がらないで下さい!ほら、早く傷を見せて!」


「っ、何なんだ君は!俺はいいから「早く!!」



私の勢いに押されて、彼は渋々と自分の傷を私に向けた。


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