漆黒の陰陽師~陰の王子と黄昏の姫~
「うわっ...凄く痛そう...」
彼の左肩には、何か爪のようなもので引っ掻かれたのだと思われる傷が三本あり、血が滲んでいた。しかし、それだけじゃない。何か黒い紫色の、おどろおどろしい、煙のようなものが傷口の周りに漂っていた。
「これは....。」
「普段なら、こんな傷を作ることなんてないんだ....今回は少し、気を抜いていたんだ...」
そう言うと彼は悔しそうに眉をひそめた。
「ごめんなさい、少し痛いかもしれませんが...」
私は彼の傷口におもむろに手を載せる。
「な、何を...?」
ビクッとして起き上がろうとする彼を手で静止し、
「大丈夫。」
と微笑んだ。