漆黒の陰陽師~陰の王子と黄昏の姫~
少し袋の中で掻き混ぜた後、人差し指に触れたくじを摘んでとった。
少しだけドキドキしながら4つに折りたたまれた紙を開く。
「23番。」
あたしがポツリと呟くと、理香は
「ひなた23番!」
と黒板の前に立っているもう一人の学級委員の眞鍋圭君に伝える。眞鍋くんはチョークを手に取ると、23番と書いてある場所へ平仮名でしのみや、と書いた。
「うわ、ひなたまた同じ席じゃん!」
「嘘ぉ!え“ー!!」
あたしはガックリして机に突っ伏す。
「ドンマーイ♪ま、次はいいとこになれるって!」
と人事のように(実際人事なんだけど)理香はにひひと笑って、あたしの肩をポンポンっと叩くと次の人の所へ行ってしまった。
「はーー....もぅ最悪.....。」
折角新しい席になって周りの友達と喋るの楽しみにしてたのにぃ....
どうせこの愚痴を言う相手も近くにいないし、つまんないなーと思いながら私は突っ伏したまま顔だけ動かして周りを見渡す。
皆仲いい人と近くだぁ!ずるい.....
ってちょっと待てよ?
まだあたしの隣が埋まってない!
もしかしてまだチャンスある?
あたしはすぐ体を起こして背筋を伸ばし、おでこの前で祈るように手を組んだ。