私は異世界の魔法使い?!
・イフリート
言葉は私の脳が信号を送り、声帯を揺らし、飛び出した。
謎の声が私の脳内で聞こえていたように、ごく自然に吐き出された。
そんな声に反応してルビーのような赤い石がはめられた黒い杖が、生きているように震え出し、石が輝いて辺りを赤く染め上げる。
すると、突然石から巨大な映像が天井に投影され、うごめく影。
巨大な影は壁一面に広がり、実体無く咆哮する。
「ガァァァァァァーーーッ!!!」
「なっ……!」
突然起きた状況に、驚きと眩しさに男は手からそれを手放す。
……すると、ひとりでに杖は宙に浮き私の元へとやって来た。
『ーーお前の意志、確かに受け取った』
目の前でふわりと浮かぶ杖。
黒くて二連の枝が交差しそれが支えるようにはめ込まれた赤い石。
その石は震えるように小刻みに光り、その光りに連動したように私の脳も揺れる。
揺れて響いて声を届ける。
「……お前だったんだね。ずっと私に話しかけてくれていたのは」
『ミアと同じ魂を持つ者よ。あの影は炎の魔人、イフリート。もうすぐ影の中から実体が現れる。その時、お前の意志が弱ければ魔人はお前を食い殺すだろう……。
それでも、覚悟はいいか』