私は異世界の魔法使い?!
今私は、家でゆっくりお風呂に浸かっている。
お風呂を出れば暖かいご飯と家族団らんの時間、そして海斗が遊びに来ていて広間でゲームしていたりして。
そんな風に今も鮮明に思い出す事が出来るのにーー。
ーーザバァァ……!
湯船から顔を出すと、それはもしかすると私の夢なんじゃないかと思えてきて……それが何よりも怖かった。
「……それでも」
どこを見る訳でもなく、ただ視線を泳がせて口元まで顔を湯船に沈めた。
それでも……海斗への気持ちは、ここにあるんだ。
「……少し見ない間に、なんだかすごい事になってたんだね?」
はい?
一体どこから声が……というか、この声はーー。
「ノア!!」
「やぁ、おねぇちゃん。元気そうだね」
ーーザバァッ。
勢い良く立ち上がった私の体に反応して、湯船の中のお湯は大きな波を打って揺らぐ。
揺らぐお湯に濡れないように、ノアは湯船から離れて宙に浮いていた。