私は異世界の魔法使い?!
「ごっ、ごめんよ……でも理由があったんだよ。僕だっていたずらにおねぇちゃんをこの世界にひとりぼっちにした訳じゃないんだよ」
シュン……なんて擬音が聞こえてきそうなほど、手をモジモジとさせながらしなだれた。
「……その、理由ってのは、なに?」
ムカつくし悔しいけど、こんな小さな子にずっとこうやって強い態度では出れられない。
虐めてる気がしてならないから。
そう思い唇を尖らせながらも、ノアの言葉に耳を傾けた。
お風呂の熱気の中、黒いタキシード姿は相当熱いのだろう。
玉の汗をかきながらも瞳を一際大きく見開き、輝やかせた。
「許してくれるのっ?」
「それはその理由ってのを聞いてからよ。……で、何があったのよ」
「……それがね」
再びモジモジと指先をすり合わせて弄ぶ。
何か言いにくそうなのは見て取れるが、なかなか話し出そうとしないノアに再び苛立ちを感じ始める。
「早く話してくれないと私、茹であがっちゃうじゃない!」
「ごっ、ごめんよっ!」