私は異世界の魔法使い?!
「その……僕の耳はね、アンテナにもなってるんだ。そういうのをキャッチ出来るように……」
ほんとにそれ、アンテナだったんだ……。
ピクピクと動く様にそう思った事はあったけど。
「おねぇちゃんがやたらと僕の耳を引っ張ったりしたから……上手く調節出来なくって行って帰ってくるのに時間がかかってしまったんだ」
チラリ。
ノアの視線がどこか非難じみている。
さっきとは形勢逆転といったところだろうか。
なんとも表情を読み取りやすい子供だ。
「……それは私が悪いの? それならそうと始めから言っててよ。だったら私だって場所を選んで痛めつけたっていうのに」
「……おねぇちゃん。素直に謝るって事、知らないんだね」
その耳、もう一度引っ張ってやろうか?
ノアの非難めいた色を映す瞳は、私と目が合った瞬間に一気に恐れの色へと切り替わった。
それはきっと私の形相に何かを感じ取ったからじゃないだろうか、と推測する。
だって私は拳を握り締めて立ち上がっていたから。
そんな私から距離を取るように、ノアはさらに高く宙を泳ぐ。