私は異世界の魔法使い?!
「なに? みんなって?」
「僕の家系はね、代々時の番人なんだよ。おねぇちゃんは不思議の国のアリスって知ってる?」
「不思議の国……それって童話のやつよね? アリスって女の子が兎を追いかけて穴に落ちて不思議の国に行く……とかそんな話だっけ?」
「うん、それに出てくる兎っていうのがね……僕のご先祖様なんだよ」
はっ……?
なにその突然のメルヘン話。
だってあれは物語の中の話でしょ?
「あれは絵本の中の話なんかじゃなくって、あれもおねぇちゃんの住む次元とは違う世界のお話なんだよ。
話の内容は絵本のものとは若干異なるけど、ご先祖様が見聞きした世界で起きた事に、寝ている間に魂があの世界に来ていたアリスの作者が見たこと全てを自分が考えたものだと思って書いたのがアレさ」
「……なっ、夢? じゃああれは、アリスの作者が夢の中で見た話ってこと?」
「うん。本人は夢で見たことも覚えてなかったようだけどね。……おねぇちゃんにも覚えがあると思うけど、今までに見た夢を全て覚えてないでしょ?
それと同じで作者は夢を見た日にそのことを忘れて、ある日突然話が降ってきた……と思って書いたのさ」