私は異世界の魔法使い?!
ノアと話していたせいでだいぶのぼせてしまった。
皮膚はシワシワ、血行の良くなり過ぎた顔は火照って真っ赤……。
そんな状態で新しく用意してもらった服に袖を通す。
今度は薄いピンクのシフォン調ワンピースだ。
足取りがふらふらしながらもなんとか着衣するが、正直立っているのも一苦労。
早く出なくちゃ……。
そう思って、扉を開けようとした矢先……ぐらりと視界が暗転した。
「げっ……やばっ」
耳鳴りがして、まだ水の中にいるような鼓膜に膜が張った感覚。
思わずその場に膝をついた。
その時扉に体当たりでもするようにしゃがみ込んでしまった為、頭を強く強打し痛みが走る、が、それ以上に気持ち悪さが勝って唸る。
「……う〜だめだぁ〜」
グラグラと頭を揺さぶられる感覚。
それを抑えようと目を瞑る。
すると、さっきぶつけた頭部に再び痛みが走った。
「おい、どうした……」
この声はカイト。
カイトは扉のそばでしゃがみ込む私を押しのけるようにして、扉を開けたのだろう。
扉は浴槽内側に開く引き戸だ。
二度目の頭部の痛みの理由を悟るが、相変わらず何も言わず、ただ目を瞑りしゃがむだけ。