私は異世界の魔法使い?!
・意識の中
ぐらり、ゆらり。
体が、心が、脳が……揺れる。
それは陽だまりの中、揺りかごで揺られているようなフワフワとした心地の良い揺れだった。
ここはどこだろう。
そう思うのに目を開けようとはせず、そもそも、そうしたいとは思わない。
もうここがどこだろうと、いいじゃない。
気持ちのよい揺らぎに、心地よい温度。
何故かは分からないけれど、全身を包む安心感。
別にここがどこだろうと安全な場所には違いない。
だからもう少し……もう少しだけ……。
『……ミアと同じ魂を持つ者よ』
先ほどから感じる揺らぎとはまた違う揺れを、脳に感じた。
『……見失ってはいけない……ここにいる理由を……自分の役目を……』
ああ……そうだね。
そうだった。
私にはやることがある。
その声は淡々としているのに、どこか柔らかさを感じる。
杖の言葉に叱咤され、だらけそうな気持ちを引き締めた。
そう、私にはしなければならない役目がある。
だから……。
私の為ではなく、彼の為にゆっくりと目を開けた。
そしてその先に見えるものを確かめた。
「……ここは……?」