私は異世界の魔法使い?!


……悔しいけれど、私はこんなにもカイトを頼ってたんだ。

それが今、分かった。


カイトは海斗ではないのにね……。


けれどカイトのぶっきらぼうにも優しさを垣間みた気がして、知らず知らずのうちに甘えてたんだ。

私は、私の運命を変える為に、ひとりでもやり遂げるって決めてここに来たのに。


落ち着いて冷静になれ。

ひとりでもやり遂げるって決めた。

うん、大丈夫。

私はまだやれる。

それにーー。


(……ワンド)


右手に握っている杖を見つめる。

黒い連理の枝から出来た杖、杖の先端には枝が支える形で赤い石がはめ込まれている。

それが赤く優しく光る。


『ーーなんだ』


そう、私はまだひとりじゃない。


(どうしてカイト達は突然いなくなってしまったか、原因わかる?)

『……男がいなくなったのではない……』

(……? どういうこと?)


思わず眉頭を寄せ、杖を睨むように見つめる。



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