私は異世界の魔法使い?!
『男がいなくなったのではなく……実亜……お前の方があの男の前からいなくなったのだ……』
「えっ?」
思わず溢れた声。
けれどそれも仕方のない事。
だってワンドがよくわからない事を言うから。
(でも、カイトが私の前から急に消えたんじゃない。まるで霧にでもなって消えてしまったみたいに。それに比べて、私だけここにいるのよ?)
『……ここは迷宮の森……森はひっそり姿を眩まし、足を踏み入れた者を迷わせる……。それはパズルのようにある一定の空間を切り取り、別の空間へと繋がれる……』
……なにそれ。
(でも同じ一本道なのよ? 景色だって変わってないじゃない)
辺りを見渡し、景色を確かめる。
けれどやはり変わらない。
さっきまでと同じ景色だ。
ただ唯一違うのは、そばにカイトがいないというだけ……。