私は異世界の魔法使い?!
弧を描いて飛んで来たワンドを掴み、それを見つめたまま心の中で声をかける。
(本当に私がカイトを呼んだの……? ワンドを手放してたのに?)
『……我らはただの起動装置のようなもの。我も含め、この世の万物全てがそうなりうる存在。だから実亜は力を出せた』
……相変わらず説明堅くてよくわからないじゃない。
(じゃあ何? 杖がなくても魔法は使えるってこと?)
『そうともいえるが……決してそうだともいえぬ……』
……どっちなのよ。
私の疑問に答えるように、ワンドは話を続けた。
『術者の想いに応えるかどうか……それは万物が決める事。無数にあるものがいつも応えてくれるとは限らない……』
(なるほど……)
「実亜」
突然意識が外へと向けられる。
自分の中で聞こえる声と対話していたせいで周りには一切意識を向けていなかった。
そんな私を呼び戻す声。
それは声だけじゃない。