私は異世界の魔法使い?!
「ぼーっとするな、置いてくぞ」
置いてくぞ……なんて、そんな気無いくせに。
本当に置いていく気ならこの手はなんなのよ。
カイトは私の手引いてそっぽを向いていた。
ーーねぇカイトは今、どんな顔をしているの……?
どんな顔をして私の手を引いてくれてるの?
カイトの記憶の中で見た、ミアに向ける眼差しと同じもの?
それともやっぱり呆れたような、小馬鹿にしたような表情?
カイト……ねぇ、私は…………。
「もうこの森には用はない。今から脱出するが、今度は崖から落ちるような馬鹿な真似や、遅れをとって空間に切除されるような真似はするな。
実亜と一緒に行動すると面倒が山のようにやって来るから割に合わんぞ」
言いながら腰に差した剣を抜いた。
抜いた剣は上空から差す光に魅せられキラリと輝いたと思った瞬間、空に虹でも描くように線を引いた。
光の残像……眩しくてそんなものを見ているのだと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
カイトの剣が空を切り裂き、その場所がべろりと剥がれた。