私は異世界の魔法使い?!
「これ、やめてってば!」
何度されても慣れない。
耳がどんどん熱を帯びてゆくのを感じる。
その熱は血液に乗ってどんどん広がってゆく。
……恥ずかしい。
心臓の音は祭り囃子でも叩くように盛大にかき鳴らしてくれる。
自分の意思でコントロール出来ない場所というのはとても厄介……だけど、とても素直なのだなって、思った。
恥ずかしいけど、嬉しいような……そんな不思議な感覚が胸一杯に広がる。
手足をジタバタとする私など気にもならないというように、カイトはいつもの表情で私を抱き上げたまま地面を蹴った。
目線は空の切れ目。
向かう先は切れ目の向こう側。
私はカイトの温もりを感じながらこの森を後にした。