私は異世界の魔法使い?!
「なにそれ?」
「これはあの森の中でブルーベルが大切にしている果実の苗木だ」
「そんなもの、どうして?」
舌打ち混じりに溜め息が聞こえたけれど、それは無視する事にした。
カイトに噛み付くより苗木の方が気になったからだ。
「ブルーベルはこの果実が好きなんだ。あの森の中にしかないものだからな。だが、この果実は苗木のうちに枯らしてしまうと元の母体までも枯れてしまうんだ。
俺の質問に答えようとしないブルーベル達に俺の質問に正しく答えなければこの苗木を燃やすと言った。そしたらアイツら慌てて真実を教えてくれた」
少し意地悪……というより残忍と言った方が正しいかもしれない。
そんな風に感じる表情を浮かべながらカイトは苗木をマントで覆った。
すると今までそこにあったはずの苗木はこつ然と姿を消した。
まるでマジックショーでも見ているように。
「そんな大事な苗木、よくブルーベルはカイトなんかに渡したね……」
なんだかんだと言ってもやっぱり子供。
……いや、そんな風に見えるだけかもしれないけれど、どちらにせよ知恵が浅い。