私は異世界の魔法使い?!
『この世界では、願いは自分の力で叶えるもの……』
赤い光。
黒い連理の枝先から溢れる輝き。
その数秒後に脳が揺れ、ワンドが言った。
(うん、そうだね。願いは自分で行動して勝ち取るものなんだよね……)
「カイト、これからどうするの? また振り出しに戻ってしまったけど」
また一からミアを探す事になるんだ。
唯一の目撃情報だったのにな……。
でも本当にミアはどこにいるんだろう。
一体彼女は今、何をしているんだろう。
こんなに忠実なソーサラーにまで何も告げず、あんな立派な宮殿を置いて。
「一度宮殿に戻る。確かめねばならない事が出来たからな」
「確かめたい事?」
「行くぞ」
カイトは再び剣を抜き、目の前の景色を切り裂いた。
裂かれた中には緑色の蛍光色が光を放ち、私の目を差す。
「実亜」
赤いマントを揺らし、カイトが私に向かって手を差し出す。
そこからの行動はさらさらと水が流れるように、何もかもが自然に見えた。
なんだかすごく懐かしい感じがして、私もその流れに逆らわず、抗わず、水の流れに赴くままに手を取り、カイトは私を引き寄せてその切り裂かれた空間の中に飛び込んだ。