私は異世界の魔法使い?!
・地下
「きゃぁぁぁぁぁ!」
「実亜、大丈夫ですかっ?」
「なっ、何かが足に……わっ、私の足にっ!」
暗闇の中でぽっと小さな音が聞こえた。
音は徐々に灯りを呼び、オレンジ色に浮かび上がる。
「落ち着いて、大丈夫ですから」
そう言って浮かび上がったアルフレッドの顔。
オレンジ色の灯りに照らされた凛々しい顔が私の足元に視線を向けている。
その灯りは、私の背丈を超える杖の先で光っていた。
けれどそれよりも足元のぬるりとした感覚が気持ち悪く、背筋が震える。
さらには辺りを包む異臭。
嘔吐物と腐った生ゴミが混ざったような臭いがなにより一番神経をすり減らす。
「落ち着いてなんていらんないわ。だってヌルってしたんだから!」
さっき足元に感じた感覚に、再び背筋が震える。
こんな汚い場所で、臭い場所で、落ち着けって方が無理だ。
正直いつ気が変になってもおかしくない……そう思っていた。
「ただのゴミですよ。ここは宮殿に繋がる下水道なのですから」
なだめるようにそう言って、杖先の灯りが私の顔をほんのり照らす。