私は異世界の魔法使い?!
私が横になると、ririaはその場を立ち去った。
部屋の真ん中に間仕切り用のカーテンが天井から吊るされ、それを引いて。
ririaはカーテンの奥で何やら忙しなく動いている。
少しすると暖かで美味しそうな匂いが鼻先をくすぐったので、きっと料理を作ってくれているのだろう。
なんだかこの感じがとても懐かしくって、不意に寂しさが込み上げてくる。
誰かの作る料理の匂い。
それは家でよくある光景。
ママの作る料理、ママがキッチンに立つ後ろ姿、ママが奏でる包丁の音。
それらが連想されて、私の胸を締め付ける。
何も変わらないいつもの毎日。
大した変化もなく、ただやり過ごして通り過ぎてゆく日々。
どこか物足りなさを感じる時もあったり、海斗とケンカして瞳を腫らす時があったり。
でも、それでも……。
離れてみてわかる事があるってよく聞くけど、本当にそうなんだね……。