私は異世界の魔法使い?!
・次元の狭間
◆
闇の中。
景色は一切無くて、ただ暗い闇がとぐろを巻いてうごめいてるのを感じる。
同時に、私の体は下へ下へと落ちてゆく。
勢いで飛び込んでみたものの、真っ暗な視界の中で不安だけが押し寄せてくる。
私、どうなるんだろう……。
心が恐怖に支配されそうになって、握り締めていたワンドの欠片をそっと撫でた。
すると……。
「わっ」
欠片から赤い光が放たれる。
暗闇に慣れてきていた瞳は、ほんの少しその輝きを拒み、目を細める。
けれどそれは私を攻撃しようとするものでは無く、暖かな石油ストーブをイメージさせる柔らかなものだった。
「ワン、ド……?」
光に包まれながら、そっと息を吹きかけるように言葉をかける。
もしかしたらまた、ワンドと話せるのかもしれないと思って。
ワンドがまた私に助言し、助けてくれるのかもしれない。
そんな甘い考えを廻らせた瞬間、自分が嫌になりそうになった。
どこまでも誰かに頼ろうとする自分に嫌気がさしたのだ。