私は異世界の魔法使い?!
そんな時だった。
私の耳に微かな声が届いたのは。
『……実亜』
また、だ。
またあの声だ。
『実亜、聞こえてる……?』
か細く、弱々しい。
それはきっとチューニングが十分に合ってないからだと思う。
それでも今までで一番良く聞こえてる。
「聞こえてるよ。あなたは、誰なの?」
『……実亜。そこに時の番人がいる……その子を見つけて』
「時の番人?」
まさか、アークじゃないでしょうね。
瀕死の状態だった私をあの世界へと飛ばし、置いてけぼりにした薄情者。
見つけたらとっちめてやらなくちゃ!
『そう……時の番人が幽閉されてるの。その子を見つけて……ソーサリーへ戻ってきて……』
「その子はどこにいるの? 真っ暗で何も見えないわ」
辺りを見渡してみるが特に変わった様子も無く、暗い闇がぐねぐねととぐろを巻き続けているだけ。
ワンドの欠片から放たれる光の程度では、辺り一体を見渡す事も出来ない。