私は異世界の魔法使い?!
「なっ!」
頬の高揚が再び訪れる。
脳がパニックを起こしている間に、私と男の間に割って入ったのはカイトだ。
「離れろ、無礼者!」
男はすかさず手を離し、距離を置く。
しかしそれでもカイトは剣を相手に向けて威嚇していた。
カイトの態度とは裏腹に、それを楽しんでいる様子で笑っている。
「花嫁に口づけを送って何が悪い?」
ーー花嫁!?
もう驚きを通り越して、呆気。花嫁って一体……。
「まだ花嫁になると決まったわけじゃない」
「ははっ、決まったも同然さ」
鼻にかかるほどの前髪を手で流し、男は軽く膝を折って頭を下げた。
「今日の勝負が楽しみですよ……」
そう言って男は去っていった。