私は異世界の魔法使い?!


なんて事を考えてると、私の気持ちが落ち着きを取り戻し始める。


「……くしゅっ!」


だだっ広いこの部屋は床も壁も柱も全てが大理石で出来ている。

天井に丸く光の差し込む窓ガラスがあるが、部屋の中に温もりを届けてくれないらしい。

驚きや怒りでヒートアップしていたせいで気づかなかったが、どうやら体は冷えきっていたようだ。

それも仕方がないかもしれない。

なにせ私は今、上下にスウェットを着ているだけで足元は裸足だったから。

この世界はへんてこな物や者が多くて、こんな格好でも普通に見えた。

元々あっちの世界でもコンビニくらいならスウェットで移動してたし、とにかく気にならなかった。

足元だって、こっちでは砂利道だってなかったし、宮殿の近くは砂漠のようなサラ砂で、むしろ裸足の方が歩きやすかったくらいだ。

……けど、ここは違う。

妙に寒い。それは部屋が広すぎるせいだろうか……。

洋画で出てきそうな王座の間くらいの広さがある。


「うー……寒いな」


なんて言いながら両腕を抱えてぶるると震えてみせた。

すると……。



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