私は異世界の魔法使い?!
「失礼いたします」
そう一声かけてから、ふわりと暖かいものが舞い降りる。
それはカイトが付けていたマントだ。
赤いシルク調のマント。
「お風邪を召されてはいけませんので、早く着替えに向かいましょう。この後あの者との勝負もありますし……」
「だからその勝負ってなんなのよ。ちゃんと一から説明して!」
マントに包まりながらカイトを睨む。
その視線を真っすぐに受けた彼は、少し眉尻を下げながら困ったように微笑んだ。
「かしこまりました。ですが時間がありません、移動しながらでもよろしいでしょうか?」
私は頷き、それを見て歩きはじめたカイト。
その少し後を追いかけるように歩き出した。
「勝負というのは今までに何度か行っているものと同じです。今この国のトップに立つソーサレスであるミア様は……」
「ストップ!」
思いっきり話の腰を折り、カイトの言葉を止める。
説明しろと言ったばかりでまだ話し始めの序盤だと言うのに、すでに言葉の意味が分からなかった……。