私は異世界の魔法使い?!
そんな私が戦って負ければ、この宮殿を明け渡してしまうだけではなく、ミアがもし帰ってこなかったら……私が代わりに結婚しなければならなくなってしまう。
そんなのは絶対、嫌だ!
「とにかく私はミアじゃなくて鏡月実亜って名前だし、こんな事するためにこの世界に来たんじゃないんだからっ」
「ミっ、ミア様……!」
だからミアじゃないってばっ!
言葉は心の中に落とし、代わりに一度ギロリと睨みつけ、そのまま踵を返し歩き出す。
そうだ……初めからこうやって逃げてしまえばよかったんだ。
相手が海斗そっくりだし、上手くいけばミアともはち合わせるかもなんて思ったのが間違いだったんだ。
それにノアだっていないし。
ってかノアはもしかしてこういう事を見越してて、先に逃げたんじゃ……?
……だったとしたら許さないけど。
ノアのことを思うと、自然と沸き上がってくる怒り。
その怒りを拳に込めて、強く握り締めた。
「お待ち下さいっ」