私は異世界の魔法使い?!
「ちょっ、ちょっとぉ〜!? 聞こえなかったの? 勝負に出るって言ってるでしょっ、だから早くこの物騒なものどけてよっ」
そばで見つめるカイトの瞳は綺麗で……真っ黒で澄み渡る瞳は綺麗なのにどこか冷たかった。
「出るからには勝ってもらわなければならないからな。お前、本当に魔法が使えないのか?」
「だからそうだって言ってるでしょ!?」
怒鳴るように言い返す私から視線を外し、明らかに小馬鹿にするような、哀れむような、蔑むようなしかめっ面で笑った。
ムカつくな!
カイトの足を踏みつけてやろうとして足を伸ばしたが、難なく避けられてしまった。
それによって喉元の剣がさらに怪しく光って……。
「お前、今の状況をわきまえろ」
そう吐き捨てられてしまった。
……ムカつく。
けれど、今度は自分の感情を必死になって自制した。
「いいか、これは命令だ。お前の命は俺が握ってるんだ、拒否権は無いものと思え」
カチン!
怒りの音が脳内に響く。
けれど再びそれも自制する。
だめだめ、ここは我慢しなくちゃ。