私は異世界の魔法使い?!
チラリと一瞥してから、やっと私の喉はカイトの剣から解放された。
ちゃんと首が繋がっているか、誤って怪我などしてないか確認するように喉を摩る。
……どうやら、怪我はないようだ。
しかしひやりとした汗が首からも吹き出していて、再び震えた。
それは恐怖などではなく、単純に冷えた寒さで。
「ついて来い」
私を置いてカイトは歩き出す。
その前を向いたまま、後方にいる私に向かって言葉は放たれた。
「間違っても変な気は起こすなよ」
「ーーしつこいなっ!」
さすがに今度は食い気味で言い返した。
一体どれだけ疑えば気がすむのか。
そう思っていると、再び言葉が飛んできた。
今度は少しだけ振り向いて。
「……おい、お前……名前は何て言うんだ」
ーーコイツ、馬鹿なの!?
思わずそんな言葉を吐き出しそうになり、慌てて吐いた息を吸い込む。
私、きっと今なら炎だって吹き出せるんじゃないだろうか?
そんな風に思えるくらい、体内に籠る熱を感じていた。