私は異世界の魔法使い?!
彼は一体いつから気づいていたのだろうか。
初めから分かっていて弄んでいたのか?
いいやそれはない。
それならこんなに態度に差が出るはずが無いだろう。
それならーー?
悶々とした疑問が脳内を幾つも飛び交い、一気に疲れが押し寄せてくる。
それでなくても、ここに着くまでに結構な距離を歩いてたわけで……完全に心身共に疲労困憊だ。
助けに来たとか言ってたノアはさっさといなくなってしまうし。
ノアの事まで思い出したところで、再び苛立ちが心の中に広がる。
不安や恐れ、そんなものを凌駕し今の私を突き動かしている動力源は……怒りだ。
……ノア、見つけたらただじゃおかないんだから。
そう思って、拳を強く握り締めた。