私は異世界の魔法使い?!
「ーーなっ、なにすんのよっ!! 突然人に向けて剣を振り回すなんて……っ」
眼にも止まらぬ早さでカイトは剣を抜き、私の目の前数センチを一太刀切る。
一瞬のことなのに太刀の軌道が光りのように見えて、驚きと恐怖と共に……綺麗とも思ってしまった。
なんて馬鹿。
一歩間違えばあれは容赦なく私を真っ二つにしていたというのに。
「やっぱり私が殺したくなったってこと!?」
「ソレを見てみろ」
……ソレ?
剣を鞘に戻し、人差し指を私の手元に向けた。
その指先から自分の手元まで視線を動かし、確認すると……。
「切れていないだろう」
……カイトが言いたいことをやっと理解した。
それは私を切ろうとして振り下ろしたのではなく、私の持つドレスに向けられていた。
けれど、刃を向けられたはずのドレスは、確かに切れてはいない。
すごい……でも……。
「そういうことはちゃんと一言いってからしなさいよ! 危ないじゃない」
「時間が無い。いいから早く着替えろ」
そう言って再び剣を私に向けた。