私は異世界の魔法使い?!
「おい、何をしてる」
「着替えてるに決まってるでしょ」
「出てこい。俺の見えるところで……」
「出来るか、馬鹿!!」
「ばっ……!?」
ーーしまった。
苛立ちのあまり、口が滑ってしまった……。
服の隙間から顔だけ出して、カイトを見やる。
眉間には底の見えない谷底ばりの深いシワが刻まれていた。
けど、そんなものは知ったことか……と腹を決め、言い切った。
「大体、これでもし私に逃げられるようなことがあっても、カイトはミアの第一ソーサラーとかいうやつなんでしょ? 捕まえることくらいなんてことないでしょ。
まっ、逃げられる地点でミアの側近魔法使いってのは大した事ないって話になると思うんだけど……違う?」
言った後、私にはカイトの顔を見る気にはなれなかった。
さっきあんなに深いシワが眉と眉の間に刻まれていたんだ。
今度はもっと……そう思うと怖くて見れない。
「……わかった。1分だけここで待ってやる。その間にそこで着替えて、出てこい。それ以上過ぎたら、そっちへ行くからな」
「わかったわよ!」