私は異世界の魔法使い?!
カイトの声に凄みが加わり、それが怒りの度合いを表していた。
イライラする中、周りに吊られている服達が邪魔で着替えにくいが、それでもなんとか約束の時間内に着替え終えた。
ドレスに袖を通してみると、外身はざらざらとした肌触りだったが、実際は滑らかでとても着心地が良い。
肌にもフィットし動きやすく、何より暖かい。
その上、裾の長さも膝下丈で丁度いい。
さっき着替えてる時、衣服がかかってる下には靴がたくさん転がっていた。
その中で適当なものを見つけて履いたお陰で、大分寒さからは守られた。
「どう? これで満足?」
フンッと鼻息が聞こえそうなほど、不機嫌な表情を隠しもせず顔をそっぽ向けて衣装の中から這い出た……が、カイトの反応は無。
さっきのやりとりのせいで、文句のひとつでも言われるものと思っていたのにそれすら無い。
不審に思い、チラリと見やると……カイトは瞳を見開いたまま、その場に立ち尽くしていた。
視線の先は、真っすぐ私に向かって。